インプラントの欠点は何でしょうか?
患者さん向けの書籍や、インプラントの紹介パンフレットには、
- 治療費用が高額(当院ではー本的35万円)
- 簡単な手術が必要なこと
などの欠点が挙げられていますが、これは本当に欠点といえるものでしょうか?
治療費が安いとはいえない金額であることは事実です。
健康保険の適用範囲外なので保険はききません。そもそも歯科の分野での健康保険の考え方は、「最低限の治療を安価に全国民に給付する。」というものですから、「最低限」の治療を目的としたものと、「最高レベル」を目指した治療とが相容れないのはいたし方のないところだと思います。
最近では格安でインプラントを提供する歯科医院が出てきていますが、本来艮質な冶療を目指しているインプラントまでが「最低限」 のものへと引き落とされてしまっているのは悲しいことです。
安物のインブラントを使用すれば治療価格も下げる事ができます。しかし何十年もお付き合いすることになるインブラントです。数十年後には部分的な修理が心要になる事が予想されます。(10年以上使用していれば、多少の修理や修正が必要になります。インプラントの人工歯冠(上部構造)も、その他の天然の歯も欠けたり、すり減ったりします。そのため修理や修正が必要になってきます。)30年後に修理したくなったときに、部品が供給されていなければ困ります。
30年後のことは誰にもわかりませんが、現在、30年前の部品を安定して供給してくれるメーカーならば、30年後の事も期待できます。一流メーカーにはそれなりの理由があるのです。
安物のインプラントを格安で供給してくれるメー力ーもありますが、30年後の保証が得られなければ、結局困るのは患者様です。安全確実な治療と数十年使用できる歯を作ること、 隣の歯を末永く守ることができること、これらを考慮してはじめて最高のインプラントを提供できると言えます。
また、インプラントの治療に必要なコストは患者様の目に触れる部分だけではありません。
レントゲンやCT写真の画像を分析し、患者様に適切な治療計画を立案したり、手術の準備を行うなどの裏方作業に膨大な時間と労力を必要とします。インプラントー本は、 何十時間もかけて準備した「患者様のお口の健康を取り戻して差し上げたい!」という思いが結集した渾身の一本なのです。
当院に就職してはじめてインプラント治療について勉強した職員があるときこんな話をしてくれました。「私、ここで勉強するまでインプラントが何十万円もするってすごく高いと思っていました。
でも、治療の準備にかける時間や手間、器具や材料の値段、インプラントの 良い面など勉強してみると高いものではないってよくわかりました。安く思えるくら いですね。」歯科業界とは別な分野で仕事をしていた職員が就職してーケ月足らずの時期でしたから、患者様に一番近い立場の素直な意見だと思います。インプラント、生涯美味しく食べられるためにという事を考えれば高すぎはしない価格だと思います。
もうーつの欠点に「簡単な手術を必要とする。」という点があります。
「手術」と聴くとおっかないですよね。私も虫垂炎(盲陽)の手術や、ソケイヘルニアの手術などを受けたことがあります。やっばり怖いです。
でも、インプラントの埋入処置は思者様にさほど大きな身体的負担を心要とするものではありません。
歯を抜くことの正反対の処置をするだけです。通常のインプラント手術では、身体的負担も抜歯とほぼ同等です。使用する麻酔の種類や量も抜歯とほとんど同じです。
そもそも歯を抜いたからインプラントを心要とするわけですから、歯を抜くという処置に耐えられた方ならば、インプラント埋入処置も大丈夫です。
インプラントの治療を受けた多くの方が「痛くないので柏子抜けした。」とおっしゃいます。
わたしは念のため5回分の痛み止めを処方いたしますが、処置後、「その日の晩に1回だけ痛み止めを服用して、翌日はもう必要なかった。」という患者様が約半数、残りの半数は「なんとなく不安だから翌朝にもー回服用した。その後はもういらなかった。」という具合ですから、「手術が必要だからタイヘン。」というのは欠点とは言えないと思います。