毎日繰り返される歯科医院の光景のーつです。
でもこれが、数年後から始まる歯並びの崩壊の物語の序章である場合があるのです。
歯科医師として弁解しておきます。少し前まではそのような治療方法しか選択肢が無かったのです。ですから何の疑問も感じずに健康な歯を削って治す事が普通でした。
でも今はインプラントという選択肢があります。その上で旧来の治療方法を見つめ直してみると、「歯を壊しているとしか言えない。」という状況も多々あるのです。歯を一本失ってしまったときにどのように治療するか。無くなった歯をどのような方法で補うか。その方法を誤るとご自身の大切な歯をドミノ倒しのように次々と失ってしまう事につながることもあります。
歯を1本失ったときそれを補うための治療方法 は、旧来の方法として固定式のブリッジと取り外し式の入れ歯の二種類がありました。いずれの方法も失った歯の隣にある健康な歯に負坦を強いる事に なるという大きな欠点を持っています。
歯は一本一本が自分自身を支えて立っており、自分に課された噛むという仕事を行うのに精一杯です。その歯に隣の無くなってしまった歯の分の仕事を課す(噛む力を負担させる)事に無理があるのです。
無理な仕事を課された歯は疲れます。疲れても毎日休むことなく二人分の仕事を押しつけられるのです。数年後には悲鳴をあげます。無理な力に耐えかねて歯が折れてしまったり、グラグラし始めたり、かぶせものが外れてしまったりするのです。
再治療が可能な状態ならば幸運です。苦労して再治療を受けたとしましょう。でも、再治療を受けた歯は、その日からまた二人分の仕事を課されるのです。多くの場合、再治療不可能なほど痛んでしまっており、結局抜歯せざるを得なくなります。
ちょっと待って下さい。抜歯する事になってしまったその歯は、
数年前まで全く健康な歯だったはずではありませんか!
隣の歯を支えるという無理な仕事を押しつけなければ、その歯は生涯健康を維持して美味しくご飯を食ぺるために役に立ったはずの歯です。
痛みを発してあなたを苦しめる歯ではなく、美味しくご飯を食べるのに役立つあなたにとって大切な人生のパートナーだった歯ではありませんか。どうしてこんな事になったのでしょうか?
隣の歯が無くなって、その部分を補うために治療を受けたときに「数年後には隣の歯もダメになりますよ。」なんて説明を受けましたか?そんな説明を受けていたら「ちょっと持ってよ!他の治療方法はないの?」と尋ねたはずです。隣の歯に害があるような治康方法は受けなかったかもしれません。
歯医者は知っています。安易なブリッジ治療や、安易な部分入れ歯治療が数年後に 隣の歯を痛める結果を招くかもしれないということを知っているのです。なぜなら、歯科医院に来る患者様の多くはブリッジの土台となった歯のトラブルや、部分入れ歯のパネが掛かる歯のトラブルなのですから。
隣の歯に負担を強いる旧来の治療方法の末路を知っているのです。
これが歯科治療でどんどん歯が悪くなる場合があるという事実なのです。
あなたの歯か次々に悪くなるのはあなたのせいではないのです。
あなたの歯が「昔から弱いタチ」だからでもありません。
旧来の歯の治療というものが、隣の歯を食いつぶしながら無くなったところを補う、という性質も一面としてあるものだったのです。数年前までそれが当たり前の事だったのです。でも今は違います。私は知っています。
一本の歯を失ったときに隣の歯を犠牲にせずに 、ちゃんと治療する方法があることを。私は知っています。良質な治療をすれば 、年齢とともに歯を失うという流れをくい止める方法が確立していることを。
良い治療方法はすでに確立しているのです。 安全性も、確実性もすでに十分な実績が積み重ねられています。
不足しているのはインプラントの利点と欠点をきちんと認識している歯科医師の方であるといえます。
歯科医師の仕事(使命)は 、
- 患者様が数十年単位の長期に渡って美味しく楽しく食事ができる
健康的なお口の状態を守ること。
- 加齢や虫歯、歯周病からくる歯並びの崩壊をくい止め、立て直すこと。
これが私の使命です!
決して「歯を削って詰めること」が仕事(使命)ではありません。それどころか「歯を削って詰めること」を目的だけに仕事をすると、よかれと思ってやったことが結果的に、10年後の患者様のお口の健康を壊してしまうことにもなってしまうのです。
安易なブリッジ(数本の欠損部を補う固定式の人工歯)治療や、安易な部分入れ歯(取り外し式の義歯)治療が「隣の歯を犠牲にして歯が無い部分を補う治療としてありますが、結果として歯並びの崩壊を加速させる結果になってしまう場合があるのです。