2取り外し式の義歯(入れ歯)
複数の歯が失われてしまった場合は固定式のブリッジが作れなくなることがあります。その場合は、取り外し式の義歯(いれば)を作製することになります。義歯は1本~2本だけの歯を補う小さな部分義歯から、歯がすべて無くなってしまった場合の総義歯まで多種多様な形があります。
義歯の場合、ブリッジと異なり隣の歯を削る必要は無いという利点があります。削る必要は無いのですが、隣の歯にクラスプと呼ばれるバネで固定しますので、隣の歯に負担が掛かるという点は同じで、ブリッジと同じような隣の歯への害があります。
義歯は便利さと違和感が交交錯する悩み多き道具です。食べ物を噛むのに役立つ反面、お口の中に大きな異物が入るという違和感が常に付きまといます。噛む力も天然の歯に比べると30%程度しか引き出すことができません。
全く痛くない良い状態の義歯ですら天然の歯の三割しか噛めないのです。そして時々痛くなったりもします。ヒトの身体は年々変化します。歯ぐきの形も変化します。朝と夜でも徴妙に違います。太ったり痩せたり、むくんだりによっても変化します。その都度、どこかが擦れたり当たったりして痛みを発したりするのです。
そして義歯の最大の欠点は、クラスプ(バネ)が掛かっている歯を痛めてしまうことです。
クラスプが掛かっている歯は、義歯に加わる噛む力を一身に受け止めます。数本分の噛む力がクラスプの掛かった歯に集中するのです。すると数年後にはその歯がグラグラしだしたりします。数年ごとに隣の歯がダメになり、義歯はだんだん大きく、ご自身の歯はだんだん少なくなっていってしまうこともあるのです。
これでは決して治ったとは言えません。総義歯に向かって悪化の一途ともいえます。